🎒📚なぜ高校球児の丸刈りが問題になるのか!?~『高校野球と人権』を読んでわかった「自己決定権」の意味!

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なぜ高校球児の丸刈りが問題になるのか?それは著者が答えることができなかった理由にあったのでした!📚

はじめに

今から10年前。高校球児が肩を壊さないようにするために大きなリュックが定着。Duck4の定点ポイントでも、大きなリュックサックを背負って登校する高校球児を見かけるようになりました。

時代が変わったのか。その大きなリュックを背負った高校球児の中には、サラサラ長髪の生徒さんもいます。

また、昔からの伝統である丸刈りの生徒さんもいます。

高校野球連盟が行ったアンケートによると、2018年は「長髪やスポーツ刈りを認めている」と答えた高校は25%程度でした。

2023年に行った高校野球連盟が行ったアンケートでは「長髪やスポーツ刈りを認めている」と答えた高校は75%まで増えました。しかし、まだ25%ほどの高校野球部では「丸刈り」です。

ところで、なぜ高校球児の丸刈りが問題になるでしょうか。

結論を先に言うと、高校球児が、自由に髪型を選択できる「自己決定権」あれば何ら問題はありません。

しかし、高校球児は、自由に髪型を選択できない。「丸刈り」が強制であればどうでしょう。それは、選手に髪型を選択できる「自己決定権」がないということで問題になるのです。

もし、自分たちで髪型を決められるのであれば、サラサラの長髪であろうと、丸刈りであろうと、選手たちの自由意志で選べるのであれば「自己決定権」は保障されて何ら問題はありません。

しかし、もし強制的に「丸刈りにしなければならない!」となれば話は別。それは高校球児には「自己決定権」がないので問題になるのです。

さて、本日のDuck4ブログでは、元高校球児だった中村計さん(フリーライター)と松坂典洋さん(弁護士)共著『高校野球と人権』(KADOKAWA)を読んで、「なぜ丸刈りが問題になるのか」をDuck4が理解できた範囲でお話しします。

『高校野球と人権』の書評

Duck4は、高校球児のリュックは、いつごろからなぜ始まったのを調べている時のことでした。

偶然、SNS(X)で、中村計さん(フリーライター)と松坂典洋さん(弁護士)の共著『高校野球と人権』(KADOKAWA)という本に探し当てることができました。

そのXの読者からの投稿には、次のようなものがありましたのでご紹介します。

高校野球だけでなく今も部活スポーツに残る「丸刈り」「体罰」「パワハラ」という宿痾 自主性と指導のボーダーライン、ひいては「人権(自己決定権)」とは何か?歴史と法律、社会倫理も含め、見地で何が是で非か、これからどうあるべきかを問う好論」(SNS・Xより🐤)

高校野球だけでなく今も部活スポーツに残る「丸刈り」「体罰」「パワハラ」という宿痾 自主性と指導のボーダーライン、ひいては「人権(自己決定権)」とは何か?歴史と法律、社会倫理も含め、見地で何が是で非か、これからどうあるべきかを問う好論」(SNS・Xより🐤)

「中村計・松坂典洋「高校野球と人権」読了。「高校野球って何で丸刈りなの?」という質問への答えに窮してしまった中村氏のエピソードを端緒とした、松坂弁護士(元野球少年)との対談書。丸刈り、体罰、校則等を題材に、日本人の人権意識を炙り出す。氏の高校野球への愛とリスペクトも感じさせる名著。」(SNS・Xより🐤)

丸刈り校則と丸刈り裁判

校則に丸刈り

Duck4の通っていた中学では、通学カバンは学校指定の背負いカバンとい校則がありました。

しかし、Duck4の通っていた中学では、丸刈り校則はありませんでした。

ただ、一部の運動部では丸刈りにする生徒はいました。また、大会が近くなると、皆で丸刈りにする運動部もありました。確か、当時の野球部は、丸刈りだったと思います。

しかしながら、Duck4が中学生だった時。まだ丸刈り校則だった地域もありました。

東北地方では、福島県は丸刈り校則が最後まで残っていたと思います。

熊本丸刈り裁判

そんな丸刈り校則に対して、1985年「熊本丸刈り訴訟」が行われました。

本件校則は、その教育上の効果については多分に疑問の余地があるというべきであるが、著しく不合理であることが明らかであると断ずることはできないから、被告校長が本件校則を制定公布したこと自体違法とは言えない」『高校野球と人権』p28より引用📚

熊本丸刈り訴訟では、訴えた側の敗訴にはなりました。

しかし、裁判所が「教育上の効果については多分に疑問の余地がある」ということで、敗訴とはいえ、教育現場で丸刈り校則の見直しが進んでいきました。

そして、日本全国から丸刈り校則が完全になくなったのは、中学で2019年。高校で2020年でした。

21世紀になっても、丸刈り校則があったのには、正直、Duck4も驚いています。

なぜ高校球児に丸刈りが残るのか

「暗黙の了承」を鵜呑みにする監督

なぜ高校野球だけに、部員全員、丸刈りという習慣が残るのか。それは丸刈りが「暗黙の了承」のルールになっているからだと著者は言っています。

この丸刈りの「暗黙の了承」とは、次のようなことになります。

例えば、監督が「丸刈りをやめるか?」と部員に聞いたとします。

部員が「僕らは丸刈りでいいです!」と言ったとします。

すると、監督は部員の声を鵜呑みにして、野球部員が「丸刈りを認めた」と思ったこと。

これがまさに「暗黙の了承」のルールなのです。

逆らえない野球部員の事情

監督が「丸刈りをやまめるか?」と聞かれて、もし一人だけ「髪型は自由にしたい!」と言ったらどうなるのでしょうか。

たぶん、監督には、あまり良く思われないとその部員は思うのかもしれません。

なので、皆な丸刈りと言うので、丸刈りにはしたくなくても「丸刈りでいい!」と言わなければならない。

もし、皆と同じように丸刈りにしなければ、レギュラーにはなれない。監督にも睨まれる。先輩たちにどう思われてしまうか心配。皆と同じにしなければならないという同調圧力。

監督は、絶対的な存在だから、部員は逆らえない。なので、部員は自分の意思を表明できずに、泣く泣く丸刈りすることです。

監督の鶴の一声で選手の自己決定

もし、監督が、うちの選手に任せていると言うのであれば、「うちは髪型は自由だ!!」と宣言すれば良いことだけのことです。

監督が「うちは髪型自由だ!」と鶴の一声で、問題はクリアできると思います。

サラサラの長髪したい選手は長髪に。スポーツ刈りした選手はスポーツ刈りに。丸刈りにしたい選手は丸刈りに気兼ねなくできるようになるでしょう。

自分の好きな髪型にできるということは、選手が自己決定できるということなのです。

著者の答えにはならない答え

元高校球児だった著者。高校球児が丸刈りにする理由を聞かれて、答えに詰まったそうです。

その時に著者が相手に言ったことが、「野球に集中させるため」一体感を出すため」清潔感を保つため」という説明。「野球部の伝統」だからとい理由も話しました。

しかし、その説明は合理性のない答えだったと、元高校球児だった著者は気づいたそうです。

そして、普通の髪の長さの選手と話をしていると、すごく大人っぽく感じられる。

しかし、丸刈りのしているチームを見ていると、監督は選手を大人にしたくない。部員を丸刈りにさせておくことで、自分に従わせているように見えます。

なので、髪型を一番気にしているのは監督ではないかとも著者は言っていました。

丸刈りルールは減っている

高校野球連盟が行っているアンケートでは、2018年は「長髪やスポーツ刈りを認めている」と答えた高校は25%程度でした。

ちなみに、2名の大リーグの選手を輩出している花巻東高校では、2018年に丸刈りルールを廃止しています。それは5年後には丸刈りルールはおかしな話になるからだったそうです。

2023年に行った高校野球連盟が行っているアンケートでは「長髪やスポーツ刈りを認めている」と答えた高校は75%まで増えています。

アンケートが実施された2023年夏は、髪型が自由なんだろうと思われる高校は、49校中7校しかありませんでした。

この夏にはサラサラの長髪の慶応高校が優勝した年です。

2024年春には32校中4校しかサラサラで長髪の高校がなかったそうです。

なぜ、甲子園に出場する強豪校では、部員は、丸刈りにするのでしょうか。

意思表明権

日本では1994年に「子どもの権利条約」を批准。条約に批准したということは、その条約に即した法律を制定しなければならない義務が生じます。

子どもの権利条約」ですが、4つの原則から成り立っています。

①差別されないこと。

②子どもによいことを最優先にすること。

③命と健康を保障すること。

④自分に関わることに自分の意見を表明できることです。

そして、やっと2023年4月から「こども基本法」が施行。その中に子どもの「意見表明権」が法律の中に明文化されることになりました。p134

「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様性な社会的活動に参画する機会が確保されること。📚『こども基本法』三条三項)

こども基本法』では「その年齢及び発達の程度に応じて」とありますが、高校球児は満15歳以上に達しています。

高校生にもなれば、「意思表示」もでき、もう大人扱いをしてもおかしくない年齢に達していると思います。

なので、選手の自己決定に任せても良い年齢にはなっています。

つまり、丸刈りにすることが問題の根本ではありません。むしろ、選手が、自由な髪型できないという自己決定権がないことが問題と著者も指摘していました

高校球児の「自己決定」の意味

エース投手だけが長髪

2024年選抜大会で髪型が自由な和歌山県の田辺高校が出場。しかし、試合前に、気合を入れるために丸刈りにしました。

けれども、エース投手だけ丸刈りにはせずにフサフサの長髪でした。

試合後のインタビューで、このエース投手は次のように答えていました。

「この野球部には入ったら、坊主はやめておこうと決めていたので、坊主にしはしません」(エース投手のインタビュー)『高校野球と人権』P132引用。

また、SNS(X)には、こんな投稿がありましたので、一つ紹介します。

「昨日サロンのお客様(ご年配)と高校野球談義丸坊主じゃないと高校野球っぽくないよなぁ、、と私は髪型自由なチームの中であえて気合の入った5厘丸刈りの選手もいるチームがなんかいいなんというか自分で考えて行動かつ其々仲間を尊重し合っているという感じ達のカリスマ美容師より(SNS・Xより🐤)

エース投手一人だけが、サラサラな長髪であるので、少し話は違いますが。

髪型が自由なチーム内でサラサラ長髪の生徒。丸刈りの生徒がいる方か、お互いを認め合っているので、Duck4も良いと思います。

丸刈りを貫く球児

2018年夏に準優勝した金足農業高校に、著者が、2023年秋の取材でインタビューをした時に、金足農業高校のキャプテンは次のように話してくれました。

「自分たちは自分たち。むしろ、どこの高校よりも短くすることで気持ちが入るっていうか、俺たちはそれだけ野球にかけてんだ、という表現の一つだと思ってやっています」(金足農業高校のキャプテンの言葉)『高校野球と人権』P140引用

このチームの場合、何も考えずに丸刈りにしているのではなく、自分たちの野球の信念のもとに丸刈りというスタイルを貫いていると言えるのでしょう。

SNS(X)には、「丸刈りと丸刈りでないチームでは、どうしても丸刈りのチームを応援するよ!」という投稿もありました。

丸刈りをすることを自己決定できる環境であれば問題はないと思います。

まとめ

なぜ高校球児の丸刈りが問題になるでしょうか。

結論を先に言うと、高校球児が、自由に髪型を選択できる「自己決定権」あれば何ら問題にはなりません。しかし。高校球児は、自由に髪型を選択できず「丸刈り」が強制であれば、「自己決定権」がないということで問題になるのです。

そして、自己決定権を阻害するものに、「暗黙の了承」があると思います。

監督が「丸刈りをやめるか」と部員に投げかけても、監督と部員。先輩と後輩にも上下関係もあり忖度や同調圧力によって自分の意思表明ができない環境に置かれてしまうからです。

そこで、監督が「うちは髪型は自由だ」と鶴の一声を部員に投げかけることで、部員たちも自己決定権がしやすい環境に置かれることでしょう。

丸刈りには、宗教的な意味合い。懲罰的な意味合い。気合を入れる意味合いと人によってはポジティブにもネガティブにも感じる髪型でもあります。

最後になりますが、著者が『高校野球と人権』で言いたかったことは、「丸刈りが問題ではなく、選手の自己決定権が奪われていることが問題。自分たちで決めているのならばどんな髪型でもいいんですよ!」と言っているように、部員の自己決定権を尊重することが大人の監督には求められるのでしょう。

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著者が言うように「丸刈りが問題ではなく選手の自己決定権が奪われていることが問題。自分たちで決めているのならどんな髪型でもいいですよ!」に尽きると思いました!🦆

📚参考引用文献📚

中村計、松坂典洋共著『高校野球と人権』(KADOKAWA)

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