Duck4の定点ポイントで12月中旬に羽を大怪我した幼鳥オオハクチョウの「テルマちゃん」を発見。ひと月ほど経ち、自生している草なんかを食べて命を繋いでいたものの1月12日以降、姿を見せなくなった「テルマちゃん」。傷病ハクチョウさんの見守り保護の「難しさ」が今日のDuck4ブログのテーマになります。
はじめに
12月中旬ごろ。「羽が地面に垂れ下がってしまうほどの大けがをした幼鳥オオハクチョウさんがいるよ!」と白鳥さんをこよなく愛している地元の方から写真を見せてもらったDuck4。それから、その羽を大ケガした幼鳥オオハクチョウさんを「テルマちゃん」と名付け、見守り保護活動の対象にしたのです。
そして、公的機関に捕獲をお願いすべきか。元気にしているようだったので、このまま見守るべきか。Duck4は、正直迷っていました。しかし、2022年1月12日を最後に、その羽をケガした幼鳥オオハクチョウの「テルマちゃん」を見かけなくなりました。最後に会った時には、Duck4のそばまで来て、小さな声で「ウー!」と「テルマちゃん」は、かぼそい声で話しかけていました。
今日のDuck4ブログでは、幼鳥オオハクチョウの「テルマちゃん」がケガした時から、姿を見せなくなるまでこと。救護をお願いするときの対応方法を過去の事例から学んだお話です。
傷病ハクチョウさんを保護する方法
まず、羽をケガした幼鳥オオハクチョウのテルマちゃんの話に入る前に、先日ブログで紹介した釣り糸がクチバシに絡まった幼鳥オオハクチョウさんが自然保護委員さんによって外された救助のお話。Duck4の定点ポイントで、傷病ハクチョウさんが行われたオオハクチョウのアドちゃん、コハクチョウのティちゃんの捕獲して保護ができなかったお話をします。
釣り糸が絡まった幼鳥オオハクチョウさんから外れる
仙台、与兵衛沼で釣り糸が絡まった「幼鳥オオハクチョウさん」が、県仙台地方振興事務所の「自然保護委員さん」によって幼鳥オオハクチョウさんに絡まった釣り針が外されたニュースをご存じでしょうか。あの成功談を新聞で読んでいてわかったことは、その釣り糸が絡まった幼鳥オオハクチョウさんは、餌付けされていてヒトに慣れていたこと。また沼という逃げ場が限られた空間だったこともあり、他のハクチョウさんに追い回されて陸に上がったところをちょうど捕獲できたこと。また絡まった釣り糸を取り除くときに数人の市民の方が手伝ってくれたこと。「餌付け」「追い回され」「市民の力」によって解決できました。
仙台、与兵衛沼で釣り糸が絡まった幼鳥オオハクチョウさんは、自然保護委員さんにより捕獲して釣り針が外されて元気に暮らしています。
弱っていたコハクチョウさんのティちゃんの救護できなかった話
2020年8月下旬。ちょうど換羽が終わった頃。2016年3月に羽をケガして長距離を飛べなくなっていたコハクチョウのティちゃん。首が曲がってしまい、泳ぐのもままならないほどの外傷を負ったときのことです。
Duck4は、県仙台地方振興事務所に捕獲して治療を依頼。「自然保護委員さん」がいらっしゃってティちゃんの捕獲を行おうとしたのですが、逃げてしまい失敗。その後、徐々に快復していったのですが、9月中旬に動物に襲われ、ティちゃんは、天国の住人になってしまったのでした。
この時に経験したことは、ティちゃんのような傷病ハクチョウさんを捕獲して治療を受けさせる難しさでした。
首が曲がって歩くのがひどいほどの外傷を負ったコハクチョウさんのティちゃんは公的機関に捕獲をお願いしたものの逃げられ失敗。それから2週間後に天国の住人になってしまいました。
大けがしたアドちゃんの救護ができなかったが吉だった話
2015年3月中旬。幼鳥のオオハクチョウさんが大けがをしていました。そのケガした幼鳥を捕獲して治療を受けさせるために、ボランティアでボートを出して川から追い込んだそうですが、足が速かったので逃げられたそうです。
そして、アドちゃんは、7歳になり元気に今も滞在組の一員として生きています。アドちゃんは捕獲されず治療を受けることもなかったのですが、結果は、吉だったのかもしれません。
大けがのあと。救護のため捕獲されそうになったけどアドちゃんは逃げたよ!持病の後遺症はあるものの7歳になったアドちゃんだよ!
羽を大怪我した幼鳥オオハクチョウのテルマちゃんのゆくえ
独りぼっちでいた羽をケガした幼鳥オオハクチョウさん(2021年12月28日)
ところで、先週の話になりますが、白鳥さんをこよなく愛する地元の方から、傷ついた幼鳥のハクチョウさんの写真を見せてもらいました。
それから9日以上過ぎた今朝。その羽を傷ついている幼鳥のオオハクチョウさんが、大橋よりも200メートル下流付近を泳いでいたのを見つけました。右側から見ると、羽がボサボサ。おそらく、羽をケガした子どもだと思います。左側から見ると、かなり羽のダメージを受けていることがわかりました。ここまで、ボサボサだと飛ぶのは難しいのではないかと思います。
周りには、家族群れのオオハクチョウさん。コハクチョウさんもいましたが、誰からも相手にされていない様子。川に自生している草の根っこなんかを食べて命を繋いでくれればと。この羽をケガした幼鳥の「テルマちゃん」を見ていて、そう願うしかなかったDuck4でありました。
(右側から見た羽をケガしている幼鳥オオハクチョウのテルマちゃん)
テルマちゃんが滞在組のそばに(2022年1月3日)
今朝。あの羽をケガした幼鳥オオハクチョウさんのテルマちゃんですが、大橋付近を泳いでいました。右羽が完全に盛り上がってしまっています。こうなると、飛ぶのは無理だと思います。お昼前に行くと、やはり、大橋付近の対岸で、滞在組のハクチョウさんのそばで、羽繕いをしていました。早く、滞在組に慣れて欲しいとDuck4は願っております。(2021月1月3日Duck4ホームページより)
(羽が盛り上がってしまっている幼鳥オオハクチョウのテルマちゃん🦢)
水面に折れた羽がつくテルマちゃん(1月9日)
久しぶりに、右羽をケガしているオオハクチョウの幼鳥のテルマちゃんを見ました。中洲付近にいて、周りには、成鳥の姿もありました。昨晩は、ここで夜を明かしたのでしょうか。ずっと、見ていると、テルマちゃんは、羽繕いをしていました。
右羽は完全に骨折しているようで、羽がダランと下がってしまうので、水面にずれ落ちてしまっています。
このままだと、滞在組のオオハクチョウさんのチンさん、アドちゃんのように羽が壊死してしまうかもしれません。(2022年1月9日Duck4ホームページより)
テルマちゃんの骨折した羽の状態(1月10日)
今朝(1月10日)。羽を大ケガしている幼鳥オオハクチョウのテルマちゃんは、小さな橋よりも上流にいました。それも、スミスさん一家の後を追いかけていました。
右羽の骨折で、地面に羽がくっついてしまいますが、テクテクと力強く速く歩けます。これだと、捕獲するのは難しいのではないか。テルマちゃんに治療も受けさせたい。という心の葛藤がDuck4には多少ありました。
栄養をつけてもらおうと、近くにおコメをまいたのですが、テルマちゃんは食べようとしませんでした。Duck4のそばにいたスミスさん一家。またモリスさんがいたのであげました。それは、スミスさん一家やモリスさんが食べているのを見て、テルマちゃんも食べてくれればと思ったからです。
餌付けには、もう少し時間がかかりそうです。まずは、テルマちゃんに栄養を取らせてあげてあげるのが先決なのですが。(2022年1月10日Duck4ブログ)
10日の朝。羽をケガしている幼鳥の「テルマちゃん」は我々スミスさん一家の後ろを歩いてついて来ていたよ!
テルマちゃんには慣れて欲しい(1月11日)
そして、そばを見ると、あの羽をケガしている幼鳥のテルマちゃんの姿も。いなかったはずのテルマちゃん。どこから現れたのでしょう?この数日。テルマちゃんはスミスさん一家の近くにいるようです。おコメをあげたのですが、全く食べずに、ずっと羽繕いをしていたテルマちゃん。スミスさん一家、モリスさんを見て、テルマちゃんにもDuck4に慣れて欲しいと願っております。(2022年1月11日Duck4ホームページより)
テルマちゃんの近くに餌を置いてみたものの(1月12日)
Duck4は、通り過ぎ上流へとテルマちゃんを探しに行きました。すると、スミスさん一家と幼鳥のオオハクチョウさんが、Duck4を追いかけるように先回りして飛んで着水していました。そのスミスさん一家がいる場所に行ってみると、あの羽をケガしているテルマちゃんは、浅瀬に立っていました。
偶然かもしれませんが、テルマちゃんがいる場所をスミスさん一家は、Duck4に教えてくれたのかもしれません。スミスお父さんに近づくと「コ!コ!」と話しかけてきました。スミスさん一家に配合飼料をあげると食べてくれました。そんな姿をテルマちゃんにも見てもらいDuck4のことをテルマちゃんにもスミスさん一家のように信頼してもらおうと思ったからです。
そして、ちょっと離れたところまで近づくと、テルマちゃんは、声を発して、数歩、下がったので、これ以上、近づくと恐怖心をうえつけてしまうのではないか。と思いDuck4は、そばに配合飼料をまいて離れることにしました。
テルマちゃんにとって良いことは、当然、骨折している羽の治療です。しかし、今までDuck4の定点ポイントでケガしたハクチョウさんの捕獲を公的機関にお願いしたこともありましたが、捕獲できず治療までは至ったことはありませんでした。そんなジレンマを抱えながらも、今は見守ることしかできないのが、ちょっと歯がゆいDuck4であります。
そして、子育て経験もたくさんあり、ここでの生きる術を熟知しているスミスさん夫妻に、羽をケガしているテルマちゃんのことをお願いして、その場を離れることにしました。
テルマちゃんは救助「すべきだったのか?」
テルマちゃんは保護をお願いすべきだったのか。Duck4は迷いに迷いました。それは、羽をケガしたアドちゃんが今も生きていること。あと、捕獲するまでに、ストレスが及ぶのではないか。テルマちゃんは、ちょこまかちょまか餌を求めて岸を歩き回っていたこと。元気そうであったので、捕獲依頼はせずに見守っていました。またテルマちゃんは、与兵衛沼にいた釣り針が絡まってしまっていた幼鳥オオハクチョウさんのように餌付けされておらず、ヒトに慣れていないこともあり、ストレスと恐怖を与えるだけなのかと考えたからです。
羽をケガした幼鳥の「テルマちゃん」は他のオオハクチョウさんにくっついて歩いていたり餌探しをしていたのでDuck4は様子を見守ることにしていたのですが…!
捕獲・救護の難しさ
傷病ハクチョウさんの捕獲をお願いするのも、かなりのリスクがあるのも事実です。それは、野生動物であるから、意思疎通が難しいからです。そして、もし失敗したときのダメージも考えておかなければなりません。その考えられる「難しさ」を下記に4つまとめてみました。
(1)捕獲されずに逃げられ、それ以降警戒して寄った来なくなってしまうこと。
(2)捕獲したもののストレスを与えてしまうこと。
(3)公的機関にお願いするため平日のみの対応になること。土日祝日金曜日などは無理になります。
(4)傷病ハクチョウを捕獲したものの治療施設の動物病院が開いているかどうか。
なども救護、保護には重要になってきます。
急に、捕獲されることは、何されるのかわからないのでハクチョウさんたちにとっては恐怖とストレスになると思うけど!
良くなるのであれば、捕獲して治療を受けさせるのも大切なんだよね!
まとめ
羽をケガした幼鳥オオハクチョウのテルマちゃんを最後に出会ったのは、雪が降っていた2022年1月12日の朝のことでした。
他の地元でハクチョウさんの保護活動を行っている方に「テルマちゃん見ましたか?」と聞いているのですが、やはり、「1月中旬までは見たけど!」とDuck4と同じ頃でした。なので、テルマちゃんの行方はそれ以後、わかっておりません。
Duck4は、あの2015年の幼鳥の時に大けがを負ったアドちゃんのように、幼鳥の「テルマちゃん」も生きられるのではないかと考え、何とかケガしてからも一月ほど生きていたこともあり、見守って来ました。
しかし、その慣れる矢先に行方不明になってしまったことを考えると、公的機関への捕獲のお願いも必要だったのではないか。後で思うと悔やまれる結果になってしまいました。
どうか、どこかで羽をケガしている幼鳥の「テルマちゃん」が生きていることを祈っています。
姿を見せない羽をケガしている幼鳥の「テルマちゃん」がどこかで生きていることを祈っております。
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